Q:就業規則による休職期間中に年次有給休暇の消化はできるのでしょうか?
Q:就業規則による休職期間中に年次有給休暇の消化はできるのでしょうか?
就業規則に基づく「休職期間中」については、基本的には年次有給休暇の取得対象外の期間と考えていただいて構いません。そのため休職期間中の労働者の方から年次有給休暇の消化をしたいという問い合わせに対して年次有給休暇を消化させる義務は発生しないと考えられます。
その理由を以下の通り説明いたします。
1.年次有給休暇は「労働日」に対して付与される制度であるため
年次有給休暇(年休)は本来、労働日(出勤義務がある日)に、「労働義務を免除する」目的で取得できるものです。
一方、休職期間中は就業規則に基づき、
- 会社が労務提供を免除している状態
- そもそも 労働義務のない期間
となります。したがって、「労働義務がない日」には年休を充てることができないという制度上の性質があります。
2.病気による休職は『労務不能』が前提であり、年休を使う前提条件と矛盾するため
休職命令は、本人の出勤状況や医師の診断等により「労務の提供ができない」と判断した場合に発令されることが多いため、休職中は会社としても「働けない状態」と認識しています。一方で
- 年次有給休暇は 本来は働ける日(労働義務がある日)の『働かないこと』を認める制度
であり、
「働けない状態」である休職期間とは本質的に両立しません。
この矛盾があるため、休職期間中に年休を付与することは制度上不自然な状態となります。したがって、事業主には年休請求に応じる義務はないという結論です。
年次有給休暇は労働者の権利ですが、休職期間は「年次有給休暇の対象となる労働日」には該当しないため、事業主はこれに応じる義務を負いません。
もちろん、労働者の不利益にならないよう配慮を行っていただくこと自体は法的に問題となりませんが、社内全体で同様の取り扱いをする等「人によって対応の差がつかないように」していただく必要があります。
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