Q:定年後再雇用の契約更新(1年ごと)や雇い止めの注意点を教えてください。

Q:定年後再雇用の契約更新・雇い止めの注意点について

就業規則における定年を迎えた労働者について、

多くの事業主様においては1年契約の有期労働契約を更新する「嘱託職員」として継続雇用する規定を定めています。

例えば60歳定年の場合、法令上65歳までは希望者全員を雇用する義務があるため、

60歳~65歳まで5年間は1年ごとに契約更新を繰り返す運用をすることが一般的です。(この間、契約更新が4回あります)

 

人手不足に悩む事業主様も多く、65歳を超えてからも雇用を続けたいというご相談は多いですが、以下の注意点があります。

①無期転換申込権の発生について

有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合、つまり5回目の更新を行った後、労働者から「無期契約に転換したい」という申込を行うことで有期ではなく無期労働契約に転換しなければならないという法律上の定めがあります。(無期転換申込権)

これは使用者(事業主)の許可や意思に関係なく、労働者の希望と申込のみで発生する権利であるため非常に強い権利です。ただし有期契約の更新が「定年後の再雇用」によるものであるときは労働局へ「第二種計画認定」というA4で1枚の申請書を提出することにより例外的に無期転換ルールの適用外とすることが可能です。

具体的な書類の記載方法・提出の流れについては個別に弊所担当スタッフへお問い合わせください。

 

②更新上限の労働契約書記載について

上記のように定年後再雇用の場合には「第二種計画認定」の提出により無期転換ルールの適用対象外とすることが可能ですが、それ以外の有期契約労働者については上記の無期転換ルールについて、労働者とのトラブルになるリスクがあります。

有期労働契約を終了することを”雇止め” といいます。この雇止めについて、契約更新時に更新の条件や契約書交付などの手続と説明が曖昧なまま毎年更新を続けると、「当然更新されるだろう」という期待を抱かせることとなり、これが慣習となっている環境のもとで突然雇止めを行うと解雇と同様の配慮や法的な制約が発生しますので注意が必要です。

あらかじめ無期転換まで発生しない有期契約の範囲で終了を想定している場合には労働契約書の中に「更新上限を4回とする」などのように最大で更新が何回、何年になるのかを明記して労働者へ説明・交付することをオススメします。

参考資料

厚生労働省「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準について」(令和6年4)

無期転換ルールについて(厚生労働省HP)

 

公開日: